現在において、投資、ディーリング、新金融商品開発、余剰資金運用などにおいて必要不可欠な存在となっているオプション取引ですが、今日までの歴史をさっと振り返ってみましょう。

そもそもオプション取引の萌芽は、古代ギリシャ時代まで遡ります。一方、近代的なオプション取引の始まりは、17世紀初頭のオランダにおけるチューリップの球根を対象としたオプション取引とされています。

さらに18世紀に入ると、米国シカゴで商品や株式のオプション取引が行われ始め、取引が何度か中断されながらも、1920年代には株式のオプション取引がかなり盛んにおこなわれていました。

しかし、株式相場操作に利用するなど不正行為が横行したため、ついには1934年には現物及び先物市場の混乱を招くと言う理由で取引所におけるオプション取引が禁止されてしまいました。その一方で、店頭における取引は禁止されることなく続けられました。

このように米国におけるオプション取引自体、実は1世紀以上に渡って行われていたものの、最近に至るまで一般的ではなく、あくまで一部のプロ投資家のみが使う特殊な取引でした。

この状況を一変させたのは、1973年4月のシカゴオプション取引所の設立でした。

さて、外国株式オプションの中で米国株式オプションについて見ていきましょう。

米国の証券オプション市場

米国の証券オプションとは、米国内の証券取引所で取引されているオプションの総称です。オプションが取引されている米国の証券取引所には、シカゴ・オプション取引所(CBOE)、インターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NASDAQなどがあります。

 この中で、CBOEとISEの2つがオプション取引量全体の7割以上を占めており、両取引所は米国の二大オプション取引所と呼ばれています。米国の証券オプションは年間41億4千万枚、一日平均で1,642万枚の取引高(2015年実績)があり、世界最大の証券オプション市場となっています。

証券オプションの種類には、個別株を対象とする株式オプション、株価指数などの指数を対象とする指数オプション、上場投資信託(ETF)を対象とするETFオプションなどがあります。

株式オプション (Equity Options)

米国市場の株式オプションは、約3,000の銘柄に対して取引可能です。

インテル、マクドナルド、ディズニー、グーグルといった日本でも有名な企業の株式オプションは、一日に数万〜数十万枚以上の取引高があり、非常に活発な取引が行われています。近年は、米国企業の株式だけでなく、最近ではADR(米国預託証券)を対象とするオプションの取引高も増えてきました。 ADRとはニューヨーク銀行に預託された外国企業の株式のことで、投資家は実質的に米国株と同じようにADRを売買することができます。

 たとえば、ニューヨーク証券取引所にはトヨタ、松下、キヤノンといった日本の大手企業のADRが上場しており、これらを原資産とするオプションも活発に取引されています。日本企業の株式オプションは、皮肉にも本国の東京市場よりも米国市場での方が多く取引されるという状況がありました。

 さらにインドのタタ自動車、中国の百度、ブラジルのペトロブラスといった新興国企業のADRも多数上場しています。 新興国への投資や、新興国企業の外国株式オプションに興味がある投資家にとって、米国市場は欠かすことができない市場といえます。